1992年BCターフ(米GI)優勝馬フレイズ(Fraise)が米国ケンタッキー州で余生を過ごすため帰国

 http://www.oc-avc.jp/horse/

 2002年に種牡馬引退後、用途変更され乗用馬として本校で繋養、各種競技会で入賞する程までに乗用馬としての素質が開花したのですが、現役時代の馬主が同馬をいつでも引き取る意志があると表明した事が海外で報道されました。
 この要請に応じ、2005年8月1日、生まれ故郷である米国ケンタッキー州へ帰国致しました。繋養先は、米国の馬主や牧場などの関係者からの寄付によって運営されている『オールドフレンズ』、名馬が幸せな余生を送る事を目的とした牧場です。現役時代から愛し続けてくれている関係者達に見守られながら余生を送ることが出来るのは、我々にとっても、フレイズにとっても大変幸せなことであると思います。

 同馬は2002年11月に千葉県・オリンピッククラブへ引き取られた後も、乗馬としての素質を開花させて競技会で入賞するまでになったほか、競馬・乗馬関係への就職を志す研修生に背を貸すことで一流馬の乗り心地を伝授するなど後進の育成に尽くしていました。
 それはそれで馬の一つの余生のあり方として恵まれたものだったわけなのですが、このたび現役時代の馬主さんの強い意向により、功労馬待遇で生まれ故郷の米国ケンタッキー州にある養老牧場へ引き取られることになりました。このOld Friends*1という養老牧場は、最近ではオジジアン*2、クリエイター*3、サンシャインフォーエヴァ*4種牡馬引退後に日本から引き取った実績があります*5
 2003年に発覚した「ファーディナンド処分事件」*6 *7から約2年。日米の競馬関係者の間で名馬の待遇*8について共通認識が得られるようになった一つの証左*9として、今回の粋な計らいは賞賛されるべきことだと思われます。 (文責:ぴ)

*1:http://www.oldfriendsequine.org/

*2:http://news.bloodhorse.com/viewstory.asp?id=28921

*3:http://www.bloodhorse.com/articleindex/article.asp?id=25241

*4:http://www.bloodhorse.com/articleindex/article.asp?id=25241

*5:Old Friendsは米国の有力な競馬関係者がスポンサーを引き受けていることもあって、場合によっては引退馬の有償トレードに応じることもあるようです。現に、オジジアンの場合、150万円でOld Friendsが買い取っています。

*6:http://news.bloodhorse.com/viewstory.asp?id=17051

*7:http://www009.upp.so-net.ne.jp/epmrp/Ferdinand-J.html

*8:もちろん、日本にも「馬の年金」(引退名馬繋養展示事業助成金制度)は整備されているのですが、これは対象が中央競馬重賞勝ち馬に限られており、海外で実績のある名馬はたとえケンタッキーダービー(米GI)優勝馬でも適用外です。また、ダートグレード重賞(統一G)勝ち馬が適用外となっている点にも、同様の弊害があることが指摘されています。

*9:それはそうと、種牡馬売買契約に供用停止時の返還・買戻特約を加えておくという運用は、実務で採用されるようになったのでしょうか。