[大井]第51回東京ダービー(南関東G1)|優勝:シーチャリオット|父:シーキングザゴールド|生産:米国・Darley

 6月8日に大井競馬場で行われた南関東の3歳最高峰、東京ダービーは、単勝元返しと圧倒的な一番人気に推されたシーチャリオット(牡3歳)[内田博幸騎手、川島正行厩舎(船橋)]が、好位追走から直線抜け出して快勝した。勝ちタイムは2:05:3。

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 レースは、内枠から好発の昨年のハイセイコー記念勝ち馬トウケイファイヤーがハナを切り、羽田盃で2着に逃げ粘った父カコイーシーズ産駒のメイプルエイトは今日は2番手に控える形。羽田盃3着の父ホワイトマズル産駒マズルブラスト、昨年のハイセイコー記念3着のガイアヘッドが先団に続き、直後の絶好位に断然人気のシーチャリオット。これをマークするような位置に、羽田盃5着で的場文男騎手が悲願のダービー制覇を賭ける父アサティス産駒のボンネビルレコードクラウンカップを勝ってここに臨んできた上がり馬ブラウンコマンダーは、後方からの競馬となる。

 道中は淡々としたペースで進み、勝負所ではメイプルエイトが抜群の手応えで前に並びかけ、これにマズルブラストや父コンサートボーイ産駒の羽田盃6着馬サウンドイモンも続き、シーチャリオット内田博幸騎手が手を動かして追い上げを図る。

 直線を向くと、一旦はメイプルエイトが抜け出したものの、その外からシーチャリオットがこれを交わし、懸命に食い下がるメイプルエイトを尻目にそのまま抜け出して優勝した。

 4馬身差の2着にメイプルエイトが粘り、マズルブラストはまたしても直線伸び切れずの3着まで。

 以下、直線しぶとく追い上げたボンネビルレコードが4着。後方待機から直線勝負に賭けたブラウンコマンダーが5着。逃げたトウケイファイヤーは直線失速して8着。サウンドイモンは見せ場を作ったものの、直線力尽きて9着。羽田盃4着の父マイネルラヴ産駒キョウエイペガサスは、展開が向かなかったのか距離が長かったのか、中団待機からそのまま流れ込んだだけの11着に終わった。

 勝ったシーチャリオットは、父が2000年のドバイワールドカップ(首GI)勝ち馬Dubai Millennium、1998年のスプリンターズS(GI)勝ち馬マイネルラヴらを輩出している大種牡馬シーキングザゴールド、母が1999年のフィーユドレール賞(仏GIII)を制し、2000年のブラックヘレンH(米GII)を2着したNeptune's Bride(母父Bering)という良血馬。シェイク・モハメド率いるDarleyグループの自家生産馬で、名義上の馬主はダーレー・ジャパン・レーシング(有)。昨年9月の船橋でデビュー勝ちし、続く平和賞を圧勝。一番人気に推されて臨んだ全日本2歳優駿(統一GI)では惜しくもプライドキムの2着に敗れたものの、NARグランプリサラブレッド系最優秀2歳馬を受賞。今期は、雲取賞、京浜盃と連勝してクラシックに臨み、緒戦の羽田盃メイプルエイトに2馬身差をつけ快勝していた。

 シーチャリオットは、羽田盃よりさらに差を広げての快勝。ベストはマイルくらいだろうが、母の父にBeringが入っている分か、この内容なら2000mまでは問題なくこなせそうだ。課題の気性面も、一戦毎に少しづつ成長を見せてきており、今後が非常に楽しみとなった。

 メイプルエイトは、今回は2番手からの競馬となったが、それは大勢には影響なかっただろう。距離伸びての逆転も期待されたが、やはり現状ではシーチャリオットが上だという事だろう。ただ、この馬自身もレースに幅があるし、一戦毎の成長が伺える。それなりに成長力があり、底力もある父カコイーシーズ産駒だけに、将来的にはどこかで大きな仕事をしてくれる可能性もあるのではないか。

 マズルブラストは今回も絶好のレースをしながら伸びきれない不甲斐ない内容。距離に問題があるのか、能力の問題なのか、気性の問題なのか、現状で理由はハッキリしないが、何かのきっかけで一皮剥けてこないと、今後の展望は厳しくなってしまうように思う。とにかく、まずは一つ勝つことだろう。

 ボンネビルレコードは、目立たないながらも強敵相手にいいレースをしている。これまで1勝しかしていないように、相手が弱くなったらすぐ勝てるタイプかは分からないが、底力のある父アサティス産駒だけに、今後も強敵相手にそこそこの競馬ができるのではないか。ブラウンコマンダーは良く追い込んだといっても大勢が決した後で、今回の内容での評価は難しい。もう1、2戦見てからだろう。トウケイファイヤーは、流れに乗れなかった羽田盃と違って、今回は力は出し切れたと思う。とりあえず距離短縮でどこまで巻き返せるかを見てみたいところだ。