[中央]第50回京王杯スプリングカップ(GII)|優勝:アサクサデンエン|父:シングスピール|生産:関口房朗氏

 5月15日に行われた、安田記念(GI)のステップレースの京王杯スプリングカップ(GII)は、単勝6番人気の伏兵アサクサデンエン(牡6歳)[後藤浩輝騎手、河野通文厩舎(美浦)]が、先団のインから直線鮮やかに抜け出して優勝した。勝ちタイムは1:20.3のレコード。

 【JRA日本中央競馬会】 [国際・4歳以上:東京・芝1400m:別定・雨・良]

 5番人気のオレハマッテルゼが2 1/2馬身差の2着に入り、2番人気に推された昨年のこのレースの勝ち馬テレグノシスは、道中後方追走から馬群をこじ開けて追い込んだものの3着まで。馬単15,490円、三連単は75,990円の波乱となった。

 以下、武豊騎手騎乗の4番人気アドマイヤマックスは、中団追走も直線伸びきれずに4着。単勝一番人気に推された藤沢和雄厩舎のダンスインザムードは、これといった見せ場のないままの9着。3番人気に推された蛯名正義騎手騎乗のプレシャスカフェは、好位追走も直線でバッタリと脚が止まり14着と惨敗した。

 勝ったアサクサデンエンは、父が現役時代に1996年のジャパンカップ(国際GI)などGIを5勝し、種牡馬としても2003年のドバイワールドカップ(首GI)で親子制覇を達成したムーンバラッドらを輩出して成功しているSingspielで、母が1997年のポモーヌ賞(仏GII)勝ち馬Whitewater Affair(母父Machiavellian)という良血馬。「フサイチ」の冠号で知られる大馬主関口房朗氏の生産で、馬主は「アサクサ」の冠号でおなじみの田原源一郎氏。2歳11月の東京開催で新馬勝ちし、続く特別も連勝。その後は脚部不安などによる休養を挟みながら条件戦を勝ち上がり、昨年暮れに準OPのクリスマスカップを勝ってようやくオープン入り。6歳となった今期は、勝ちきれないレースが続いていたものの、前走のマイラーズカップ(GII)では、後方追走から前残りの流れを直線一気に追い込んで3着に入り、能力の片鱗を見せていた。

 アサクサデンエンは、今回はいかにも馬場と展開に恵まれた印象があるだけに、これだけで安田記念の主役に躍り出たとは言い難い。とはいえ、前走のマイラーズカップの内容は悪くなかったし、力をつけているのは事実で、現在のこの路線の層の薄さを考えれば、この馬自身はマイルに距離が伸びるのも歓迎ということもあり、チャンスは十分あるだろう。2着のオレハマッテルゼは、これも展開に恵まれた感。こちらは条件戦からの勝ち上がりで勢いがあるとはいえ、まだ一線級との対戦経験がなく、さすがに安田記念で即通用となるとどうか。3着のテレグノシスは、不利な馬場状態に加え、直線でゴチャつきながらも伸びてきており、能力は見せた。安田記念でも能力的には最右翼で、あとはここ2年泣かされてきた馬場状態と枠順が当日どうなるかだけだろう。アドマイヤマックスは、かつてとは異なり現在は完全にスプリントタイプにシフトしてしまっているようだ。安田記念に向けてこの負けは不安材料。ダンスインザムードは気性の成長が見られず、牡馬の一線級相手では恵まれないと苦しいというのが現状のようだ。プレシャスカフェは、距離に加え状態そのものも下降線と見られ、やはり前回の高松宮記念(GI)での蛯名騎手の騎乗ミスが致命傷になってしまったようだ。