[大井]第11回マイルグランプリ(南関東G2)|優勝:ナイキアディライト|父:ディアブロ|生産:新冠町・ハシモトファーム

 4月6日に行われた、かしわ記念(統一GI)の前哨戦、マイルグランプリは、2番人気のナイキアディライト(牡5歳)[石崎駿騎手、出川龍一厩舎(船橋)]が、好発からハナを切り、マイペースの逃げから直線後続を突き放して圧勝した。勝ちタイムは1:37:8。鞍上の石崎駿騎手は、これが嬉しい重賞初制覇となった。

 【Keiba.co.jp地方競馬総合サイト】 [4歳以上:大井・ダート1600m:定量・晴・良]

 レースは、好発からナイキアディライトが押してハナに立ち、東京シティ盃2着を叩いてここに臨み、単勝1.9倍と断然の一番人気に推された、昨年のサンタアニタトロフィー勝ち馬トミケンマイルズがガッチリ2番手をキープする展開。

 ナイキアディライトは、道中気分よくマイペースで逃げ、直線を向くと一旦は並びかけたトミケンマイルズをアッサリと突き放し、そのまま独走して優勝した。

 2着争いは、一旦は完全にトミケンマイルズの体勢だったが、好位追走から勝負所で置かれかかっていたエンプレス杯(統一GII)勝ち馬プルザトリガー報知グランプリカップ勝ち馬ジーナフォンテン牝馬2頭が直線でしぶとく脚を伸ばし、3頭並んでの入線。最後は、プルザトリガーがハナ差先着して2着を確保し、トミケンマイルズが3着。さらにハナ差の4着にジーナフォンテンが入った。

 以下、ダイオライト記念(統一GII)5着からここに臨んだ2002年の戸塚記念勝ち馬ジェネスアリダーが、さらに3馬身差離されての5着。前走の東京シティ盃トミケンマイルズを下してここに臨んだブルーローレンスは、後方追走から直線差を詰めたものの6着まで。東京シティ盃3着からここに臨んだ昨年の全日本サラブレッドカップ(統一GIII)3着馬カセギガシラは、今日は行きっぷりが悪く中団から流れ込んだだけの7着。昨年のこのレース5着で、東京シティ盃4着からここに臨んだナイキゲルマンは、後方儘の11着。金盃2着のクールアイバーも、後方侭でブービーの12着に終わった。

 勝ったナイキアディライトは、父ディアブロ、母ナイキアラモード(母父スリルショー)という血統構成。北海道・新冠町のハシモトファームの生産で、馬主は小野スミ氏。2歳の9月に船橋でデビューし、デビュー2連勝。3歳時は、春にブルーバードカップ京浜盃羽田盃東京ダービーと4連勝で南関東牡馬クラシック二冠を制し、ジャパンダートダービー(統一GI)でも僅差の3着と健闘。秋以降はしばらく調子を崩したが、4歳となった昨年のかしわ記念(統一GII)を鮮やかに逃げ切って復活し、帝王賞(統一GI)でもアドマイヤドンのハナ差2着と大健闘。昨秋は、緒戦の日本テレビ盃(統一GII)こそ逃げて楽勝したものの、続くJBCクラシック(統一GI)、ジャパンカップダート(GI)は、自分の競馬に持ち込めずに大敗。その後一息入れてここが今季初戦だった。

 今回のマイルグランプリ、まずパドックで目に付いたのが休み明けのナイキアディライトの気配の良さだった。体もキッチリできていたし、気合乗りも上々。となればここでは能力が一枚上で、順当勝ちといえるだろう。同脚質のベルモントソレイユの取り消しに恵まれた面はあったにせよ、鞍上の石崎駿騎手が実にうまくナイキアディライトをリードして、気分良く走らせていた。レース後のインタビューでは「次(恐らくはかしわ記念)は父(石崎隆之騎手)が乗ると思いますが・・・」とコメントしていたが、これだけ息の合った走りを見せられるなら、次も石崎駿騎手が乗ってもいいのではないかとさえ思えてくる。

 他でパドックで良さが目に付いたのは、近走順調に来ていたブルーローレンス、カセギガシラ、ナイキゲルマン東京シティ盃組と、復調ムード漂うジェネスアリダーだった。このうち、ブルーローレンスナイキゲルマンは脚質的に今回は展開が向かなかったし、ここまで時計が早いと現状では厳しいということなのだろう。カセギガシラは1600mはやはり本質的に長いということだと思われる。5着に好走したジェネスアリダーは、近走の内容やパドックでのデキを見る限り、かつての状態をほぼ取り戻してきたようだ。大井コースはどうしてもスタートに難があるが、今回はスタートがうまくでてこの馬なりに流れに乗れたことが良かったのだろう。直線でも一瞬鋭い伸びを見せて見せ場は作っており、相手次第ではまたチャンスが回ってきそうだ。

 プルザトリガージーナフォンテン牝馬2頭は、馬体そのものは良かったが、やや焦れ込み気味だったのがどう出るかが懸念された。しかし、レースでは好位追走から実にしぶとい伸びを見せた。特にプルザトリガーは、持ち時計的にも牡馬相手にどうかと思われたが、これだけやれれば十分で、目下の充実ぶりは素晴らしい。また、勝負どころから追い通しながら最後までしっかり追ってトミケンマイルズを捕らえた鞍上の内田博幸騎手の手腕も見事である。

 トミケンマイルズは、一息入れての東京シティ盃を叩いて上積みが期待されたが、パドックで見た感じは良くも悪くも平行線という印象で、まだ絶好調には一息と映った。もっとも、レースでは、持ち時計から見て現状の能力は出し切っている感がある。2番手で終始マークしていながらアッサリ突き放されたように、現状はナイキアディライトとははっきり力差があり、今後統一重賞クラスの能力の馬とも戦えるようなレベルに行くには、状態面あるいは能力面でもう一枚の上積みが必要だろう。