ランフランコ・デットーリ騎手、豪州で1ヶ月の騎乗停止処分 英国競馬界に波紋?

 ゴドルフィンの主戦を務める英国のトップジョッキー、Frankie Dettori騎手が、オーストラリアで1ヶ月間の長期に渡る騎乗停止処分を受け、英国の競馬界で波紋が広がっているようだ。

 Dettori騎手は、現地時間11月2日に行われたメルボルンカップ(豪GI)で、Mamoolに騎乗して7着になった際の騎乗をめぐって、これまでのキャリアで最も重い騎乗停止処分を受けた。

 メルボルンカップのレースをめぐってDettori騎手が他の何人かの騎手とともに事情を聞かれた際には、ここまで重い処分が課されることは全く予想されていなかったようだ。

 今回の処分の内容は、11月6日から12月4日までの約1ヶ月間の騎乗停止というもの。英国では、今回のような場合、通常は2〜3日の騎乗停止処分が課される。

 裁決委員は、6着となったDistinctionが12着に終わったMedia Puzzleに押し出されるという不利が、Dettori騎手によって引き起こされたとみなした。

 Dettori騎手は、裁決委員に対し、「自分は走行妨害が最小限のものであったと考えているが、ミスを犯したのは確かだ」と述べたという。

 11月3日に今回の処分が決定された際、Dettori騎手はメルボルンからの帰途にあったため、具体的なコメントはなされていないが、今回の決定には相当驚いていたようだ。

 ゴドルフィンのレーシングマネージャーのSimon Crisford氏は、今回の決定に対して異議申し立てを行わないとした上で、「Dettori騎手が出発する前に彼と話をしましたが、彼はあまり大騒ぎしないで欲しいと言っていました。我々としては、ジャパンカップ(国際GI)についてはどうしようもないですが、香港国際競走には間に合います。私は実際のその事故を間近で見たわけではないので、判断をするのは難しいですが、今回の処分の重さには非常に驚いています。」と語っている。

 英国ジョッキークラブの規則委員であるMalcolm Wallace氏も、今回の重い処分に対しては驚きを隠せない様子で、「英国では、不注意な騎乗に対しては2〜3日の騎乗停止が、危険な騎乗に対しては10日間の騎乗停止が課されるのが通常です。私は裁決委員と同じ角度から見ていたわけではありませんし、騎手は自分の周辺で起こったことに対しても責任はありますが、我々なら1ヶ月もの騎乗停止を課すことはありえません。Frankieは2〜3日の騎乗停止になるだろうと言っていました。彼はこういった走行妨害についても、それがどんな処分を課されるかが分かるくらいの経験を積んでいます。ですから、1ヶ月もの騎乗停止処分が課されるとは思えないのです。以前に議論をした際、私はオーストラリアの裁決の基準が、以前に比べて走行妨害に対して寛容になり、英国の基準に近づいていると感じていたのです。それだけに、なおのこと今回の重い処分は驚きでした。最近になってこの手の走行妨害が相次いでいたので、おそらくはそれも今回の重い処分の理由なのでしょう。」と語り、英国ジョッキークラブが、オーストラリアで発生した同種の事案についての検討を行うことを表明した。

 Dettori騎手のエージェントを務めるRay Cochrane氏は、自身がTaufan's Melodyに騎乗して1998年のコーフィールドカップ(豪GI)を制した際に、走行妨害を理由に4週間の騎乗停止と20000豪ドルの制裁金が課されたことを引き合いに、今回の事態も予測していたと言い、「私の場合はあの処分も仕方がないものでした。Frankieは今回はどうしようもなかったと言っていましたが、私は彼に、もし有責と判断されれば最悪の事態も考えられると言ったのです。」と述べている。

 今回の処分を説明する声明で、RVLは、「Frankie Dettori騎手は、Distinctionとの間に十分な進路がなかったにも関わらず、Hugs Dancerの外に馬を持ち出し、それによってDistinctionをMedia Puzzleに向かって押し出し、挟まれる結果に繋がったとみなされるため、有責である。Dettori騎手は、自分に過失があることを認めたが、自分の考えではMamoolによって引き起こされた走行妨害は最低限のものであるし、雨が降っていたことやオーストラリアでのルールを熟知していなかったことから、判断が非常に難しい状況だったと釈明している。」と述べている。【Racingpost】

*Racingpostの記事を閲覧するには、事前に専用のIDとパスワード(無料)でログインすることが必要です。なお、Racingpostの記事は、かなり早い段階でリンク切れを起こしますので予め御了承ください。