NYRAのCEOバリー・シュワルツ氏、今年一杯での辞任を表明

 ニューヨークの競馬を運営するNYRA(ニューヨーク競馬協会)の会長兼CEOのBarry Schwartz氏が、12月31日をもって辞任すると述べたとBlood-Horseで報じられている。

 これは、現地時間10月8日の声明の中で述べたもの。Blood-Horseの取材に対し、NYRAの関係者は驚きを隠せないでいるようだ。

 Schwartz氏は辞任の理由として、無報酬で務めているNYRAのCEO職が、とりわけニューヨーク州及び連邦検事の調査下に入ったこの2年は多忙なものとなっていて自身がより重視する競馬の宣伝活動に時間が取れなくなっているとし、「私は疲れた。もう充分だろう。」と述べた。

 Schwartz氏はさらに、「NYRAは以前よりもよくなっている。しかし、運営することが非常に難しくなってもいる。今やここは私がいるべき立場ではないと感じるようになり、辞める方に気持ちが傾いた。」と述べる一方で、今後もNYRAの理事として、精力的に活動し、NYRAの「新指導者」とともに働いていくという意向を示した。

 NTRA(全米サラブレッド競馬協会)の前コミッショナーのTim Smith氏が、次期NYRAのCEOの候補として考えられていたが、ニューヨーク州司法省がCEO職に多額の報酬を出すことに難色を示したことなどもあり、Smith氏の側がCEO就任の交渉から撤退していた。Smith氏はその後ニューヨーク州の競馬に関する新たなビジネスモデルの構築に関する仕事をしているが、Smith氏をよく知る関係者は、Smith氏はNYRAの仕事に就くつもりはないようだとしている。

 次期CEOの候補としては、NYRAのCo-COOを務めるSteve Duncker氏の名前も挙がっている。Dunckerは、NYRA内部の機構改革に精力的に努めてきた。最近では2006年以降のベルモントS(米GI)の放映権問題の交渉などを担当している。Dunckerは、10月8日に受けた取材の中で、Schwartz氏の辞任の話は知らなかったと述べている。

 Schwartz氏は、声明の中で、自らがCEOを務めたこの4年間のNYRAは「非常に多くの難しい挑戦」が続いたと述べ、NYRAはこれを「誠実さ、熱心な仕事、そして忍耐」によって克服してきたと総括。さらに、「NYRAの運営者や従業員達の働きぶり、献身振りには非常に感謝している。私が4年前にこの職についたとき、NYRAの将来には問題が山積していた。NYRAは、ニューヨーク州の司法長官、会計検査官、州競馬委員会から、経営責任や脱税問題の調査を受けた。さらに、NYRAは深刻な財政難にも直面していた。NYRAは今日ではこれらの問題をクリアしつつあり、運営コストの削減とレースの売上増により効率的な運営が行われるようになってきた。次にCEOを務めるものは膨大な時間とエネルギーを注ぎ込むことが求められるだろう。自分も、見込んでいたものよりは激務だったが、後悔はしていない。私がCEOを務めてきたこの4年間でのNYRAの進歩には誇りを持っているし、NYRAは一連の新しい運営方法の導入によって、大いに健全化したと信じている。個人的な話だが、Calvin KleinのCEOからも引退することになる。これからは自分の家族と過ごし、個人的な利益の追求で余生を楽しむことができるね。」と述べた。【The Blood-Horse】


 関連:http://www.jair.jrao.ne.jp/japan/topics/2004/a4body55.html
    :http://www.jair.jrao.ne.jp/japan/newsprot/2004/body/0914.html