[盛岡]第19回ダービーグランプリ(統一GI)|優勝:パーソナルラッシュ|父:Wild Rush|生産:米国・Mr. & Mrs. M. L. Woo

 3歳ダート路線の最高峰ダービーグランプリ(統一GI)は、単勝1.8倍と断然の1番人気に推されたパーソナルラッシュ(牡3歳)[安藤勝己騎手、山内研二厩舎(栗東)]が、道中2番手追走から4角で先頭に立ち、直線は独走して圧勝した。勝ちタイムは1998年のみちのく大賞典でメイセイオペラがマークした2.03.5を大幅に更新する2:02:8。

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 レースは、サラブレッドチャレンジカップ(統一GIII)勝ち馬トーセンブライト兵庫チャンピオンシップ(統一GII)勝ち馬メイショウムネノリ、それに人気のパーソナルラッシュの先行争いからトーセンブライトがハナに立つ展開。パーソナルラッシュメイショウモトナリもすんなり先団に控え、名古屋優駿(統一GII)勝ち馬タカラアジュディユニコーンS(GIII)勝ち馬トップオブワールド、昨年の新潟2歳S(GIII)勝ち馬ダイワバンディットが好位につける形。羽田盃勝ち馬トキノコジローは例によって馬群の後方を追走。他の地方勢は、地元の不来方賞1、2着馬ウエスジーニアス、マツリダブロッコが馬群の後方を押してついていくものの、他はペースに全くついていけず、離れた後方を追走していく。

 4角ではパーソナルラッシュ馬なりで先頭に立つが、後続勢も差を詰めて有力どころは一塊となり、トキノコジローも勝負どころから一気に捲って取り付いて追撃体制に入る。

 しかし、直線に入るとパーソナルラッシュが後続を一気に突き放し、そのまま独走状態で、2着に9馬身差をつけて圧勝した。

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 好位追走から馬群を捌いて差を詰めてきたトップオブワールドがなんとか2着を確保。先行策からしぶとく流れ込んだメイショウモトナリが3着。後方待機から勝負所で捲りを打ち、見せ場を作ったトキノコジローは、直線もよく追い込んだものの最後の一伸びが足らず4着まで。逃げたトーセンブライトは直線失速して5着。

 以下、離れた後方をマイペースで進んだ昨年の南部駒賞勝ち馬スウィープザボードが、直線ジリジリと差を詰め、5着からは8馬身差離されたものの地元最先着の6着。好位追走も直線失速したダイワバンディットが7着。好位に控えたタカラアジュディは、直線も見せ場なく失速して8着。ウエスジーニアス、マツリダブロッコは、馬群の後方からそのまま流れ込んだだけの9着、10着に終わった。

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 勝ったパーソナルラッシュは、父Wild Rush、母Personally(母父Alyder)という血統のアメリカ産馬で、馬主は深見富朗氏。昨年9月の阪神開催で新馬勝ち。3歳となった今期は気性的な難しさが災いして力を出し切れずにいたが、昇竜S(OP)を一転して快勝し、続くユニコーンSでも3着と好走。その後一息入れた前走のエルムS(GIII)では、上がり馬のウインデュエルを抑え、古馬相手に快勝していた。

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 パーソナルラッシュについては、ダービーグランプリはどういうわけか大差がつきやすい傾向にあるだけに、この9馬身差という着差自体はそれほど驚くにはあたらないが、勝ちタイムの2:02:8は尋常ではないもの。前走のエルムSは全くのフロックではなく、ダートのチャンピオンに上り詰めるだけの能力を持っていることはもはや疑いようがないところだ。今後は一息入れて来期に備えるとのことだが、ポスト・アドマイヤドンの有力候補が誕生したといえそうだ。

 2着のトップオブワールドは、前走のエルムSを叩いてきっちり変わり身を見せた。勝った馬が強すぎただけで、この馬自身も好タイムで駆けている。父シャンハイという血統らしくダートでは安定しており、今後も相手次第でチャンスをつかんでいくだろう。3着のメイショウモトナリは、微妙に影が薄い面もあるが、こちらもダートでは安定している。安定した先行力は魅力で、今後も堅実なレースが期待できそうだ。4着のトキノコジローは、尋常ではない高速決着の中見せ場も十分に作り、好レースを見せた。脚質的にどうしても安定感に欠く面はあるが、強力な末脚は全国クラスでも通用しそうな目処をつけたといえるだろう。展開が向けば統一重賞クラスでもチャンスがありそうだ。5着のトーセンブライトは、早めに勝ち馬に来られる面もあったが、一応現状の力は出しているといえそうだ。前走のサラブレッドチャレンジカップは相手にも恵まれた面はあり、今回の結果は致し方ない。今後も相手一つだろう。

 ダイワバンディットは、焦れ込んでいたし、今回は距離も長かったようだ。地元勢は、離れた後方でマイペースに徹したスゥイープザボードがバテた馬を交わして上がってきただけ。現状では全国クラス相手には壁が高そうだ。タカラアジュディは、やはり控えては味がない。強気に行って単騎マイペースの競馬なら巻き返す余地はあるように思う。