[中央]第58回セントライト記念(GII)|優勝:コスモバルク|父:ザグレブ|生産:三石町・加野牧場

 菊花賞(GI)に向けてのステップレースセントライト記念(GII)は、単勝一番人気のコスモバルク(牡3歳)[五十嵐冬樹騎手、田部和則厩舎(北海道)]が、押し出されるように早めにハナに立ち、直線も後続の追い上げを振り切って優勝した。勝ちタイムは、1999年のオールカマー(GII)でホッカイルソーがマークしたコースレコードの2.12.0を大幅に更新し、1995年の宝塚記念(GI)でダンツシアトルがマークした芝2200mの日本レコードの2:10.2をも更新する2:10.1。

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 中団追走から追い上げた青葉賞(GII)2着馬ホウキパウェーブは、直線で一旦はコスモバルクに並びかかったものの、ラストは再び突き放されてクビ差の2着まで。9番人気の伏兵トゥルーリーズンは、中団追走から早めに先団に取り付いたものの、追い比べで及ばず3着。

 以下、未勝利、500万下特別を連勝してきた父エルコンドルパサー産駒の上がり馬モエレエルコンドルは、好位追走から直線上手く内をすくったものの、最後は切れ負けする形で4着。駒草賞(OP)3着のエスユーグランドは、好位追走も勝負所で包まれて後退し、直線で再び差を詰めたものの5着まで。ラジオたんぱ賞(GIII)4着のダイワネバダは、好位追走も勝負所で一杯となりブービーの14着に終わった。

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 勝ったコスモバルクは、父ザグレブ、母イセノトウショウ(母父トウショウボーイ)という血統構成。北海道・三石町加野牧場による生産で、馬主は岡田繁幸ビッグレッドファーム総帥夫人の岡田美佐子さん。

 昨年の8月に旭川でデビューし、2戦目で初勝利。ホッカイドウ競馬で4戦2勝の後はJRAに挑戦しつづけ、2歳暮れのラジオたんぱ杯2歳S(GIII)で重賞初制覇。3歳となった今季は、初戦の弥生賞(GII)を快勝するも、皐月賞(GI)はダイワメジャーの大駆けにあって2着、日本ダービー(GI)ではハイペースに自ら巻き込まれる自滅で8着と大願を成就するには至らず。夏場の休養を経て、前走久々の地元戦となった北海優駿では予想以上の苦戦を強いられたものの、きっちり勝ちきってここに臨んでいた。

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 外枠だったこともあって押さえきれずにハナに立ち、ハイペースで逃げる形となったものの、そのまま押し切ってのレコード勝ちは驚異的というほかはない。この時期の時計の早い馬場ということを考慮しても驚異的な勝ちタイムといえ、中距離では間違いなくGI級の力があるといえよう。菊花賞に向けては、やはり折り合い面を含めた長距離適性が課題となりそうだ。うまく馬を前に置く形で折り合いに専念するか、いっそのことハナを切ってマイペースに持ち込むか、自分の力を発揮で切れば能力で捩じ伏せることも可能だろう。

 ホオキパウェーブは長く脚を使ってよく差を詰めてきた。展開面を考慮するとコスモバルクには完敗というべきだが、長く脚を使えるタイプだけに距離延長はプラス。コスモバルクも含め、本質的には中距離タイプというべき馬が多いだけに、本番の菊花賞ではスタミナを問われる厳しい流れになればチャンスも十分だろう。トゥルーリーズンモエレエルコンドルは、相手を考えればよく走っている。自己条件に戻れば能力は上位だ。人気の一角を占めたエスユーグランドは、+16kgのほとんどが成長分で仕上がりは良かった。今回は流れに乗れずに力を出していない面もあり、もう一戦様子を見たいところだ。