[盛岡]第8回マーキュリーカップ(統一GIII)|優勝:スナークレイアース|父:アサティス|生産:静内町・グランド牧場

 夏の盛岡の統一重賞マーキュリーカップ(統一GIII)は、単勝4番人気のスナークレイアース(牡9歳)[小野次郎騎手、川村禎彦厩舎(栗東)]が、ゴール前の激しい叩き合いを制して優勝した。勝ちタイムは2:05:8。

【Keiba.go.jp 地方競馬情報サイト】 [盛岡・ダート2000m:曇・良]

 レースは中京記念(GIII)勝ち馬メイショウキオウ名古屋大賞典(統一GIII)勝ち馬クーリンガーが行こうとするところを、大外からみちのく大賞典2着馬シルクディヴァインがハナを叩く展開。昨年のこのレース2着のビワシンセイキが掛かり気味に外から先行し、その後ろにスナークレイアース。岩手期待のみちのく大賞典勝ち馬トニージェントと2002年の南部杯(統一GI)2着馬バンケーティングは中団の追走となる。

 勝負所では、終始メイショウキオウにマークされる形となったシルクディヴァインが一杯となり、代わってメイショウキオウが先頭に。バンケーティングトニージェントも差を詰めにかかり、JRA勢4頭と合わせた6頭がほぼ一団となって直線へ。

 直線を向くと、先頭のメイショウキオウにまずビワシンセイキが襲いかかり、次いで内からクーリンガーが抜け出しを図る。岩手の2頭は完全に圏外となり、クーリンガーがそのまま押し切るかと見えたが、ゴール寸前でクーリンガーの脚色が鈍り、再びメイショウキオウビワシンセイキが差し替えしてきたところへ、さらに大外からスナークレイアースが一気に伸びてきてゴール。写真判定の結果、1着がスナークレイアース、クビ差の2着にクーリンガーが粘り、更にハナ差でビワシンセイキ、更にクビ差でメイショウキオウが入った。

 岩手勢は、この激しい首位争いから7馬身差離されてバンケーティングが5着に入るのがやっと。トニージェントは6着。3連勝でここに臨んだ昨年の不来方賞勝ち馬グランドピアノはいいところなく9着。シルクディヴァインは12着に沈んだ。

 勝ったスナークレイアースは、父アサティス、母ジグズアンドリールズ(母父Comedy Star)で、半弟にJRA1000万下のタマモビクトリー(父ミシル)などがいる血統。北海道・静内町グランド牧場の生産で、馬主は杉本仙次郎氏。旧4歳の1月に京都でデビューし、折り返しの新馬戦で勝ち上がり。その後は条件戦を堅実に走っていたが、旧6歳の夏にTUF杯、オーガストSと連勝してオープン入りし、秋の東海菊花賞(統一GII)で2着と健闘する。6歳時はブリリアントS、関越SをOP特別を2勝したものの、重賞ではマーキュリーカップの2着が最高。翌7歳時もマーキュリーカップは2着に終わったが、その後秋の白山大賞典(統一GIII)で待望の重賞初制覇。その後も堅実に入着を続け、9歳となった今年も、初戦のオグリキャップ記念(統一GII)を4着。続く東海S(GIII)は大敗したが、前走のブリリアントSでしぶとい伸びを見せて5着と使われつつ良化していた。

 9歳となっての重賞制覇は見事というほかなく、高齢までタフに走るアサティス産駒の真骨頂と言ったところか。ただ、今回は有力どころが、クーリンガーは左回り一息、メイショウキオウは連闘に加え初の地方遠征、ビワシンセイキは微妙に長い2000mとそれぞれに弱みを抱えており、このレース2着2回と相性の良さも合わせて幸運な勝ち星を拾った感は否めない。ただ、アサティス産駒らしく年齢的な衰えはそうも感じないだけに、ばてない強みが生きる条件ならば今後も上位を狙えることもありそうだ。2着のクーリンガーは、やはり左回りは一息のよう。ただ、この相手で勝ちきれないのは正直不満で、今後も右回りのGIIIクラスが主戦場となりそうだ。ビワシンセイキは、やはりベストは1400mくらいだろう。年齢的な衰えも若干見え隠れしている感がある。メイショウキオウは、連闘の影響か若干疲れが見受けられた。初の地方遠征としてはそうも悪くない内容で、今後ともGIIIクラスなら警戒したいところだ。岩手勢は、いかにも手薄なJRA勢にこの完敗ではどうしようもない。トニージェントはそろそろ年齢的にピークが過ぎた印象。バンケーティングは相手が強くても頑張れる持ち味は見せたものの、まだまだ復調途上という印象で、何とか復活を待ちたいところ。グランドピアノは今回の内容では、全国クラスで戦うには相当な成長が必要。シルクディヴァインは今回は展開がきつかった。体調そのものは悪くなさそうで、今後の巻き返しには注意が必要だろう。