[大井]第27回帝王賞(統一GI-南関東G1)|優勝:アドマイヤドン|父:ティンバーカントリー|生産:早来町・ノーザンファーム

 今年の上半期のダートチャンピオン決定戦、第27回帝王賞(統一GI)は、単勝1.3倍と圧倒的な1番人気に推されたアドマイヤドン(牡5歳)[安藤勝己騎手、松田博資厩舎(栗東)]が、ゴール寸前で辛くも差し切って優勝した。勝ちタイムは2:04:0。

【Keiba.go.jp 地方競馬情報サイト】 [農林水産大臣賞典・4歳以上:大井・ダート2000m:定量・晴・やや重]

 レースは、大方の予想通りかしわ記念(統一GII)勝ち馬ナイキアディライトがスタートからハナを切り、昨年のジャパンダートダービー(統一GI)勝ち馬ビッグウルフが2番手、昨年の東京大賞典(統一GI)勝ち馬スターキングマンが好位につける展開。圧倒的1番人気のアドマイヤドンはスタートで出遅れて中団の外。東海S(GII)勝ち馬アンドゥオールは行きたがるのを抑えこんで中団から。アンタレスS(GIII)勝ち馬タイムパラドックスは、例によって後方から末を生かそうという競馬となった。

 ナイキアディライトの完全な単騎逃げとなり、レースは極端なスローに。勝負所でタイムパラドックスがたまらず捲っていって2番手に上がり、連れてスターキングマンアドマイヤドンあたりも動き出す。直線を向いたところでタイムパラドックスは一杯となり、一旦は2番手に上がったスターキングマンも直線は伸びがない。内から追ってくるビッグウルフも突き放されて、いよいよナイキアディライトの逃げ切りかと思わせたが、外からグイグイと伸びてきたアドマイヤドンが、ゴール板前でハナ差だけ差し切って優勝した。

 寸前まで粘ったナイキアディライトが2着。勝負所では一旦置かれたビッグウルフが直線粘り強く伸びて3着。捲って見せ場を作ったタイムパラドックスは、先に動いた分4着。アンドゥオールは消極的なレース運びでこれといった見せ場もなく5着。ラスト失速したスターキングマンは6着。ナイキアディライトともに地元の期待を集めたサンデーバニヤンは、ここでは力不足で見せ場なく8着に敗れた。

 勝ったアドマイヤドンは、父がダートを中心に活躍馬を出している人気種牡馬ティンバーカントリー、母が1993年の牝馬クラシック二冠馬ベガ(母父トニービン)という良血馬。2歳10月の京都開催でデビューし、3連勝で朝日杯フューチュリティS(GI)を制覇。クラシック路線ではひと息の成績で終わったが、ダートに転じたJBCクラシック(統一GI)を圧勝。昨年はフェブラリーS(GI)こそ不利があって11着と大敗したが、秋は南部杯(統一GI)を勝ち、JBCクラシック連覇を達成してJRA最優秀ダート馬に選出された。今季は、初戦のフェブラリーS(GI)を順当勝ちした後、勇躍ドバイワールドカップ(首GI)に挑戦したものの8着大敗。今回はそれ以来約3ヶ月ぶりのレースだった。

 今回はドバイ帰りからぶっつけで仕上がり途上だったことに加え、出遅れてスローペースに嵌まる厳しい展開となったが、それでも最後は力でねじ伏せたあたりは現役ダート最強馬の貫禄といったところか。秋は芝路線に向かうことが検討されているという。

 2着のナイキアディライトはスローの単騎逃げに持ち込み、これ以上ない流れ。上がりもまとめており、これで負けたらしょうがないといったところ。スンナリ行ければ力があることはここ二走ではっきりしてきたし、あとは厳しい流れになったときにどうかだろう。

 3着のビッグウルフは前半前で流れに乗れたことが大きい。今回だけで完全復活といえるかは微妙だが、砂の深いダートでは今後も要注意か。4着のタイムパラドックスはスローに落とされ自分から動かざるを得ない辛い流れ。それでも見せ場は作ったし、今後に向けては目処が立った印象。アンドゥオールは消極的な競馬で見せ場がなかった。前二走の内容から力はあるはず。今回だけでは見限れないし、地方のダートの適性も今回だけではなんとも。もう一戦様子を見たいところだ。スターキングマンは、どうやらまだデキが戻りきってない模様。もしかすると復活には時間がかかるかもしれない。