[中央]第45回宝塚記念(国際GI)|優勝:タップダンスシチー|父:Pleasant Tap|生産:米国・Echo Valley Horse Fa

 春のグランプリ宝塚記念(国際GI)は、単勝1番人気に支持されたタップダンスシチー(牡7歳)[佐藤哲三騎手、佐々木晶三厩舎(栗東)]が、道中3番手追走から3角で早くも先頭に立つと、そのまま押し切って優勝した。勝ちタイムの2:11.1は、ビワハヤヒデが1994年にマークしたタイムを0.1秒上回る阪神競馬場でのレースレコード。

【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上:阪神・芝2200m:定量・晴・良]

 レースは、後発を切った昨年の安田記念(GI)3着馬ローエングリンタップダンスシチーが行く構えを見せるが、結局内のローエングリンがハナに立ち、ダッシュ一息も徐々に押し上げてきた2002年のこのレース3着馬ホットシークレットが2番手、タップダンスシチーが3番手。これをマークする位置にシルクフェイマス、2番人気のゼンノロブロイが追走。ザッツザプレンティが中団に付け、リンカーンは折り合いに専念。ツルマルボーイは最後方からという流れになる。

 3角に差しかかると、鞍上の佐藤哲三騎手がペースがぬるいと見たのか、タップダンスシチーが早くもローエングリンを交わして先頭に立ち、それを追いかけるようにシルクフェイマスゼンノロブロイも動き出す。

 直線を向いたところではさすがに後続が差してくるようにも思えたが、タップダンスシチーはそこから二枚腰の粘りを見せ、逆にシルクフェイマスゼンノロブロイが一杯に。リンカーンがラスト外から追い込んできたが、大勢にはまったく影響なく、ゼンノロブロイを交わして3番手に上がるのが精一杯。結局、タップダンスシチーがそのまま押し切り、2着にシルクフェイマス、3着にリンカーン、4着がゼンノロブロイ、5着にザッツザプレンティの順となった。

 勝ったタップダンスシチーは、父Pleasant Tap、母All Dance(母父Northern Dancer)という血統構成の外国産馬。3歳3月の阪神開催でデビューし、2戦目で新馬勝ち。3歳時に京都新聞杯(GII)で3着と健闘し、5歳秋の朝日チャレンジカップ(GIII)をレコード勝ちして重賞初制覇。同年暮れの有馬記念(GI)で人気薄ながら2着と健闘し、6歳となった昨年は完全に本格化。金鯱賞(GGII)を勝って臨んだ宝塚記念(国際GI)は終始外外を回らされる不利も応えて3着に終わったが、秋は京都大賞典(国際GII)を勝って臨んだジャパンカップ(国際GI)で、内外の強豪を相手に9馬身差の圧勝を演じた。続く有馬記念(GI)では展開面の不利もあって8着と敗れたが、休み明けの金鯱賞(GII)をレコード勝ちとキッチリ立て直してここに臨んでいた。

 前走の金鯱賞の内容からも、年齢からくる衰えはなく、とするならば昨年に比べて明らかに力の劣る相手となったここは順当勝ちといったところ。それにしても、3角で強引といってもいい仕掛けで先頭に立ち、そこから終始後続に追いかけられ続けながら難なく振り切った内容は相当なもの。馬場の適性や体調の維持など、もちろん課題は多いが、この内容ならば凱旋門賞(仏GI)でももしかしたらと思わせる内容だった。

 逆に、2番手以降は完全な力負け。2着のシルクフェイマスは、自分から勝ち馬を追いかけに行っての粘りだけに、勝ち馬には完敗としても、逆に3番手以降に比べると強い競馬といえる。坂のあるコースをこなしたのも収穫で、4歳勢のだらしなさを考えれば、タップダンスシチーが抜けて相手関係が楽になったところでGI獲得という目もあるかもしれない。

 3着のリンカーンは、今回は折り合いがついてラスト差してきたが、大勢が決したあとの追い込みな上、展開が苦しかったシルクフェイマスも交わせないようでは情けない。どうやら、今年の4歳世代の低レベルぶりは相当深刻なものといえそうだ。

 4着ゼンノロブロイは、キツイペースで引っ張る前を見ながらという絶好の展開に恵まれながら、直線はヨレてしまって4着どまり。昨年の有馬記念(GI)でも直線の伸びが一息だったように、どうも厳しいレースになるとだらしなさを露呈してしまうようだ。スローの上がりの競馬にめっぽう強いが、厳しい流れで底力を試されるレースになるとダメな典型的タイプと見られる。ザッツザプレンティはどうもレース内容に成長が感じられず、今後もうまく流れに恵まれないと苦しそう。ツルマルボーイは、中2週で体調の維持が難しかったか。