第54回安田記念(GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 【JRA日本中央競馬会】 春のマイルチャンピオン決定戦、安田記念(GI)が行われる。ただでさえ今年の4歳世代の絶望的な低レベルによってドングリの背比べ的なメンバーになっている上、東京の芝1600mが条件的に合いそうな馬も少なく、さらに今週からのAコース替わりで内外で極めて公平さに欠く馬場となっていることが予想されるだけに、きわめて予想が難しい一戦となった。

 というわけで、どこから入っても良さそうなところだが、中心には◎アイランドファッションを推してみる。アメリカでのGI3勝は牝馬限定戦のものだけにそれほど高く評価することはできないが、メンバーが多少軽かったことがあるにせよ、"ビッグキャップ"サンタアニタH(米GI)で牡馬相手に2着した底力は侮れない。父のPetionville、母父のNative Danzigともにマイナー種牡馬ではあるものの、それぞれの父はSeeking the GoldDanzigということで、東京の芝1600mをこなすスピードと底力は十二分に備えていると見たい。鞍上が主戦のDesormeaux騎手ではなくほとんど無名といっていいプーグリシ騎手というのは大いに不安ではあるが、好枠を引いてうまく内に潜り込めればチャンスありだ。

 相手には○ローエングリン。昨年のこのレースも寸前まで粘っての3着。今年も同じAコース替わりの不公平馬場となれば、それを味方に粘りこむシーンがあってもおかしくない。GIになるとどうしても決め手のある馬にやられてしまうことが多い馬だけに一枚評価を下げたが、相性のいい横山典弘騎手に乗り替わるのはプラスだろう。強気に先行して時計勝負に持ち込めば、押し切りがあってもおかしくはない。前崩れの流れにでもならない限り、大崩れはなさそうだ。

 一発があるとすればジョウテンブレーヴあたりだろうか。しばらく不振が続いていたが、ここ2戦は復調を窺わせる内容。特に前走の京王杯スプリングカップ(GII)は、直線で外に持ち出すのにロスがあっての内容だけに、うまく捌けていればもっとやれたはず。相性のいい内田博幸騎手に乗り替わるし、距離延長も苦にならないはずだし、同じ馬主のジョウテンデヒア東京ダービーで3着と劇走して大穴を開けたのも記憶に新しい。うまく馬群を捌ければ、そろそろ劇走があってもという気がする。

 △テレグノシスは、能力、東京の芝1600mともこのメンバーでは抜けて上位といえる存在。ただ、馬群に突っ込んでいけるタイプではなく外差しが身上の馬だけに、昨年と同じAコース替わりの不公平馬場はやはり不安。大外枠を引いた昨年よりはマシとはいえ、やはり割り引かざるを得ないだろう。能力でどこまでカバーできるかだ。

 残りの連下候補には、前に行きそうな△ユートピア、・セルフフリットを挙げておく。ユートピアは東京の芝1600mはそれほど苦にしなさそうだし、揉まれ難い外目の枠を引いたのも好感。外から被されない形で先行できれば案外頑張るかもしれない。セルフフリットは大外枠を引いて、この馬場ではさすがに苦しい気がするが、なにせ日本遠征に滅法強いアイヴァン・アラン調教師の最後の日本遠征だけに、どうしてもノーマークにはできない。

 他の有力どころでは、ファインモーションバランスオブゲームは東京の芝1600mがベストという印象がない。鉄砲は苦にしないタイプだし、前に行けるタイプだけに、馬場状態と展開次第では粘るかもしれないが、基本的には入着までと見る。マイソールサウンドは東京コースの適性が疑問。ツルマルボーイは大外一気の脚質から、Aコース替わりの不公平馬場ではまず勝負にならないだろう。京王杯スプリングカップを快勝したウインラディウスは、その内容が全てうまくいったという印象で、まだGIで信頼できるほどの力はないような気がする。人気になるなら嫌って妙味ありではないか。