第40回金鯱賞(GII)は、タップダンスシチーが優勝

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上・国際:中京・芝2000m:別定・晴・良]

 宝塚記念(GI)の前哨戦の金鯱賞(GII)は、単勝一番人気のタップダンスシチー(牡7歳)[佐藤哲三騎手、佐々木晶三厩舎(栗東)]が、先行策から勝負所で早くも先頭に立ち、そのまま押し切って優勝した。勝ちタイムは1:57.5で、サイレンススズカが記録したコースレコードを更新した。

 レースは、2002年の小倉大賞典(GIII)勝ち馬タマモヒビキが引っ張り、昨年のAJC杯(GII)勝ち馬マグナーテンがこれを2番手で追走する緩みない流れ。五分のスタートから好位につけていたタップダンスシチーは、緩みない流れにも拘らず勝負所で早くも仕掛ける強気の競馬。4角では早くも先頭に立ち、直線一気に抜け出して独走。後続からただ1頭差を詰めてきた2002年の東京スポーツ杯2歳S(GIII)勝ち馬ブルーイレヴンに最後アタマ差まで詰め寄られたものの、着差以上の余裕を見せて押し切った。

 昨年の菊花賞(GI)勝ち馬ザッツザプレンティは、道中中団につけたものの、勝負所でタップダンスシチーが動くと全くついていけず、直線も流れ込んだだけの3着。2番手追走のマグナーテンは、タップダンスシチーに早目に来られて苦しい展開になったが、それでも直線粘りを見せて4着。昨年のエリザベス女王杯(GI)勝ち馬アドマイヤグルーヴは、中団追走からガラッと開いた内を衝いて一旦は2番手に上がったものの、そこからの伸びがなくマグナーテンにも差し返されての5着どまり。

 以下、中山金杯(GIII)勝ち馬のアサカディフィートは、後方待機から差を詰めて6着。昨年の3歳牝馬三冠馬スティルインラブは、道中中団追走も、勝負所でペースが上がると全くついていけず8着と大敗。牡馬相手で馬脚を現した形となった。

 勝ったタップダンスシチーは、父Pleasant Tap、母All Dance(母父Northern Dancer)の血統の外国産馬。3歳3月の阪神開催でデビューし、2戦目で新馬勝ち。3歳時に京都新聞杯(GII)で3着と健闘し、その後も強気に格上挑戦を挟みながら堅実に走り続け、5歳秋の朝日チャレンジカップ(GIII)をレコード勝ちして重賞初制覇。暮れの有馬記念(GI)では13番人気ながらゴール寸前まで粘りを見せてあわやの2着と大健闘。6歳となった昨年は完全に本格化し、東京競馬場リニューアル記念(OP)、金鯱賞と連勝して臨んだ宝塚記念は、終始外外を回らされる不利も応えて3着に終わったが、秋は京都大賞典(GII)を勝って臨んだジャパンカップ(国際GI)で、内外の強豪を相手に9馬身差の圧勝を演じた。続く有馬記念では終始周りに絡まれる苦しい展開もあって8着と敗れ、その後休養に入ってここを目標に立て直されていた。

 勝ったタップダンスシチーは、明けて7歳となっても全く衰えを感じさせない内容でこのレースを連覇。天皇賞・春(GI)組のザッツザプレンティとの比較からいっても、少なくとも中距離でははっきり能力が抜けていることが明らかで、宝塚記念ではよほどのことがない限り勝てそうだ。その後は新潟記念(GIII)から凱旋門賞(仏GI)に挑戦というプランも組まれており、今年も活躍が期待できそうだ。

 2着のブルーイレヴンは、武豊騎手に捨てられてからコンビを組んだ吉田稔騎手がじっくりレースを覚えさせてきた成果がここで実を結んだ形。まともに走ればこれくらいはやれる力のある馬で、今後は右回りで今回と同じ走りができるかと、多頭数になった場合にうまく走れるかだろう。いずれにしても今後に希望のつながるレース内容だった。

 ザッツザプレンティは、惨敗の天皇賞・春に比べれば格好はつけた形だが、順調に使われた強みがあってこの内容でははっきり言って力負け。宝塚記念では展開など、よほど恵まれない限り逆転は難しいだろう。マグナーテンは、今回のように主導権を渡すレース展開ではやはり苦しい。その割には粘りを見せており、復調してきてはいるようだ。アドマイヤグルーヴスティルインラブは、今回の内容では、牡馬の一線級相手でははっきり力不足。今後は牝馬限定戦に活躍の場が限られることになりそうだ。