第118回目黒記念(GII)は、チャクラが優勝

 【JRA日本中央競馬会】 [3歳以上:東京・芝2500m:ハンデ・小雨・やや重]

 今年で118回を数える伝統のハンデ戦目黒記念(GII)は、単勝3番人気のチャクラ(牡4歳)[柴田善臣騎手、安達昭夫厩舎(栗東)]が、道中後方待機から直線馬群を切り裂いて抜け出し、最後は追い込んで来たトレジャーをクビ差抑えて優勝した。勝ちタイムは2:30.5のレコード。

 レースは伏兵のニシノサブライムが大逃げを打つ流れ。これが4角で一杯になると、直線は横に広がっての追い比べに。道中後方で我慢していたチャクラは、馬群を割って手応え通りの伸びを見せ、キッチリ抜け出した。2着には小倉大賞典(GIII)3着のトレジャーが、ダミアン・オリヴァー騎手の風車ムチに応えてゴール前猛然と追い込み、好位追走から一旦は抜け出しかかった昨年の新潟記念(GIII)勝ち馬ダービーレグノは上位2頭のの末脚に屈して3着。馬単が41,200円の波乱となった。

 ダイヤモンドS(GIII)3着のタニノエタニティは、いつも通りの後方待機策から直線内を衝いて抜け出しかかったところで前を塞がれる不利があり4着まで。混戦の中、上がり馬の勢いを買われて一番人気に支持されたアイポッパーは、昇級戦で力不足を露呈し5着。

 前走メトロポリタンS(OP)を勝ってここに臨んだシャドウビンテージは、後方追走も直線も伸びがなく、見せ場なしの11着。武豊騎手騎乗の上がり馬エアセレソンは、掛かり気味に先行して直線失速し13着に終わった。

 勝ったチャクラは、父マヤノトップガン、母カーロッサ(母父Caerleon)の血統。3歳2月の京都開催でデビューし、3戦目で新馬勝ち。京都新聞杯(GII)を2着して臨んだ日本ダービー(GI)で14番人気ながら6着と健闘し、秋に期待がもたれたが、秋はセントライト記念(GII)3着、菊花賞(GI)6着と一息の成績。しかし、暮れのステイヤーズS(GII)でようやく持ち前のスタミナを発揮して重賞初制覇を達成。今年は日経賞(GII)を叩いて臨んだ天皇賞・春(GI)で、後方待機組では最先着の4着と好走していた。

 チャクラは、相手が楽になったここは順当勝ちといったところ。相変わらず末脚は確かで、天皇賞・春の内容から相当に低レベルと見られる現在の長距離路線なら、条件次第で勝ち負けも可能となるそう。トレジャーは正直驚きの好走。これが距離延長が吉と出たのか、それとも単にオリヴァー騎手の腕だけで持ってこられたものなのか、もう少し様子を見たいところ。ダービーレグノはとにかく堅実。裏を返せば勝ち切れないとも言えるが、それでも相手が軽くなればまだまだチャンスはありそうだ。タニノエタニティは直線での不利が痛かった。ビュッと切れる脚がない馬だけに、ベストの条件のここで結果を出せなかったのは痛いところ。アイポッパーは押し出されて人気になっていたが、力負けだろう。シャドウビンテージは、肝心なところでだらしない父コマンダーインチーフ産駒の悪いところが出てしまった印象。それに、昨年のアルゼンチン共和国杯(GII)でも人気を裏切っており、東京コースでも2500mになると微妙に勝手が違うのかもしれない。