ナイターレース用の「光る砂」が品薄で、大井競馬場がピンチだという話題

【朝日新聞】 ナイター競馬「トゥインクルレース」の草分けの大井競馬場で使われている、青森県六ケ所村産の「光る砂」が底を尽きかけている。カクテル光線に映えるうえに粒子が細かくてつぶれにくいとして、18年前に採用されたが、その後全国の競馬場に広がり、残りは「数年分」ともいわれているようだ。

 大井競馬場トゥインクルレースは、1986年に始まった名物開催。夕暮れ前にレースが始まり、午後6時以降に100万球の電飾が織りなすイルミネーションとカクテル光線を浴びての競馬が人気を集め、大井競馬場の主力商品となっている。

 大井競馬場の主催者である特別区競馬組合の担当者は、ナイターに映える砂を探し、青森・下北半島産に白羽の矢を立てたという。石英質が多いため照明を反射し、光って見えるためだ。当地の砂は埃がたちにくく、つぶれにくいため、路盤が固まってデコボコになる心配が少なく、競走馬の脚への衝撃を和らげ、負担を減らすことができるとされている。また、跳ねて馬や騎手の目に入ることも少ないようだ。

 大井競馬場では、一周1600mのコースで年間約3000立方メートル分の砂を入れ替える。

 青森砂は大井競馬の採用後、中央競馬会の府中競馬場や阪神競馬場をはじめ全国に広がった。六ケ所村での土砂採取量のうち、何割が競馬場で使われているか定かではないものの、既に採取場所が海岸線からより陸側に移っており、限界も近いと言われているようだ。

 こうしたなか、青森砂の代替品を探す動きも出始めている。園田競馬場は、5月中旬から、六ケ所村と中国山東省のブレンド砂を馬場に敷くという。中国砂は、人件費が安いため値段が従来の7割ほどに抑えられ、中国政府が採取を奨励するほど余っているという。 今後、青森砂に変わる代替品を模索する動きがさらに活発化しそうだ。