第64回桜花賞(GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開

 【JRA日本中央競馬会】いよいよ今年の春のクラシック路線が開幕する。開幕戦の桜花賞(GI)は、なかなかに粒揃いのメンバーである一方、有力馬もそれなりの不安を抱えており、面白い一戦となりそうだ。

 多少強引な狙いであることは承知しつつ、中心には少し捻って◎マルターズヒートを狙ってみる。前走のフィリーズレビュー(GII)は、スタートで出遅れながら直線一気の追い込み。本番に向けて脚を測る、いかにもトライアルらしい乗り方で目処をつけたのは収穫だった。本来はスターと次第で前に行くこともできる自在の脚質。1600mを克服済みなのも魅力だし、フェアリーS(GIII)で、好位の内からスパッと抜けるこの馬のベストパフォーマンスを引き出したバルジュー騎手への乗り替わりも好材料。トライアルの段階で、人気・走破タイムとも差のなかったムーヴオブサンデーと、人気面でこれだけ差がつくのなら狙って妙味ありと見る。

 相手にはやはり○スイープトウショウ。危なっかしいレース振りを常に言われつつも、実際にはここまで5戦4勝。やはりマイルまでの決めて勝負ならばこの馬がはっきり一枚上といわざるを得ない。同じような脚質のデュランダルを駆る池添騎手なら、ここも度胸を決めての直線勝負に持ち込むはず。内枠の分、裁くのに苦労する可能性を考えて一枚評価を落としたが、もちろん一気に突き抜けてもおかしくないだろう。

 3番手評価は▲ヤマニンシュクル。同じ条件の阪神ジュヴェナイルフィリーズ(GI)を制して2歳女王となった馬の評価を落とすことはできない。チューリップ賞(GIII)も3着とはいえ上々の内容で、ここもきっちり伸びてくるだろう。ただ、本質的には距離伸びていいタイプのはず。忙しいマイル戦では、どうしても流れに乗り損ねるリスクは付き纏いそうだ。1600mへの適性の分、スイープトウショウを上と見た。

 以下は連下までの評価となるが、△ロイヤルセランガーは前走こそ6着と崩れたものの、それまでは一線級を相手に常に堅実なレース振り。昨年のシーイズトウショウの例もあり、混戦となった場合にはこういう堅実派が怖いところ。鞍上の吉田稔騎手も魅力で、押さえておきたいところだ。△ホシノピアスはまだ1勝馬で、現時点での実績・底力で見劣ることは否めない。ただ、ここ二走はマルターズヒートムーヴオブサンデーを相手にそれほど差のないレースを見せている。桜花賞で劇走するトライアル4着馬というのも縁起が良く、一発狙いならこのあたりだろう。

 他の人気どころについては、まずダンスインザムードは、クラシック0勝の藤沢和雄厩舎ということもさることながら、過去10年連対実績のないフラワーカップGIII)組、揉まれるレースが未経験であること、さらに関東馬桜花賞で人気を裏切る、関西への長距離未経験という典型的なパターンにもはまっており、正直不安材料が多すぎる。それで断然の人気となっているのなら、正直買いたくないタイプだ。

 ムーヴオブサンデーは、1600mの経験がないのが引っ掛かるところ。フィリーズレビューは完勝だったが、見方によってはいかにも1400mベストという勝ち方ともとれる。外枠を引いたのもやはりマイナス材料で、最後の最後で一踏ん張りが利くかどうか不安もある。この馬とダンスインザムードについては、過去10年無敗で桜花賞に挑戦した馬が、12着、4着、15着、14着、3着と悉く沈んでいるのも嫌なデータだ。

 ダイワエルシエーロは、前走のクイーンカップGIII)がなかなかに強い勝ちっぷり。ただ、一戦毎に馬体が減っているのが気になる材料。今回間隔をあけて馬体が戻れば走ってくるとは思うのだが。それに、やはり大外枠を引いたのはマイナス材料だろう。鞍上の福永騎手がどう乗るかが分かれ目となるだろうか。