おつかれさま〜2002年供用停止種牡馬外伝その04「アンバーシャダイの場合」

アンバーシャダイ(JPN)→2002年11月26日、用途変更
(静内町アロースタッドにて功労馬)

 1980年代から90年代前半にかけて、日本の生産界に君臨した大種牡馬ノーザンテーストの初期代表産駒。

 旧4歳時はダービーで19番人気ながらオペックホースの9着と健闘したものの、並の条件馬でしかなかった。しかし、旧5歳の秋に急成長を見せ、条件特別を連勝してオープン入りするや、毎日王冠2着、秋の天皇賞を同厩の先輩であるホウヨウボーイの4着。さらに、秋の目黒記念を勝って臨んだ有馬記念では、ついにホウヨウボーイに完勝。大将格のホウヨウボーイが引退の花道を飾るとファンのみならず関係者の誰もが思っていた目の前で、鮮やかな世代交代を果たした。のちに「ノーザンテースト(産駒)は三度化ける」という格言が生まれたが、ノーザンテースト産駒の成長力を最初に知らしめたのが、このレースといえるだろう。

 旧6歳時は堅実に走ったものの春の天皇賞2着、秋の天皇賞5着、有馬記念2着とビッグレースを勝てず。しかし、旧7歳の春の天皇賞では、菊花賞馬のホリスキーにいったん抜かれながら、驚異的な差し返しで優勝。前走のアルゼンチン共和国杯でもミナガワマンナにハナ差敗れたものの、ホリスキーをハナ差差し返しており、この二レースはアンバーシャダイの驚異的な勝負根性とそれを支える心臓の強さを示すレースとして語られている。

 その後は引退レースの有馬記念(3着)まで勝てずに終わったが、厩舎の親分ホウヨウボーイ、「太陽の帝王」ことモンテプリンス菊花賞ミナガワマンナホリスキー秋の天皇賞で驚異的なレコード勝ちをしたメジロティターン、重馬場の有馬記念で驚異的な追い込みを決めたサラ系の名馬ヒカリデュール、ジャパンカップで日本調教馬として初めて連対を果たしたキョウエイプロミス、と名ステイヤーがずらり居並ぶなかで三年間チャンピオンとして君臨し続けたのは素晴らしいの一言であろう。

 種牡馬としても、メジロライアンカミノクレッセベストタイアップらを輩出して大成功を果たした。ここ数年はホッコーアンバーら障害での活躍が目立つものの、平地では目立たない感があったが、昨夏の種牡馬引退後、ドンカスターSを勝ったマイネルアンブル、カブトヤマ記念1位入線(降着)のカンファーベスト、今年の小倉大章典を勝ったマイネルブラウらが頑張りを見せている。最後にもう一花が期待できそうだ。

 そして、わが国ではいまだ達成されていない、四代連続の大レース勝ちが産駒メジロライアンの後継メジロブライトの仔にかかっており、こちらも大いに期待したいところである。