ジャパンカップウイークスペシャル 第6回ジャパンカップダート(GI)、第25回ジャパンカップ(国際GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開 その4〜第25回ジャパンカップ(国際GI)外国招待馬の分析(2)+日本調教馬の分析

ジャパンカップ(国際GI)外国招待馬(2)

キングスドラマ(King's Drama) セ5歳
[エドガー・プラード騎手、ロバート・フランケル厩舎(米国)]
父:キングズシアター
24戦7勝 主な勝ち鞍:スウォードダンサー招待S(米GI)、レッドスミスH(米GII)、マンノウォーS(米GI)2着

分析:フランス時代はジョンシェール賞(仏GIII)を勝った程度の成績で、米国移籍後も今一つパッとしなかったが、この夏にスウォードダンサー招待S(米GI)を逃げ切って本格化。続くマンノウォーS(米GI)でもベタートークナウの僅差2着に健闘した。カナディアンインターナショナル(加GI)では展開が厳しかったのか8着に沈んだが、レッドスミスH(米GII)を快勝して立て直しての来日。父のKing's TheatreはSadler's Wells系ということで重さが気にかかるところだが、米国での軽快なレース振りからはその点は問題なさそうだし、前走から中1週という点についても、その前走が陣営いわく「お金の出る調教」ということなら仕上がりにも問題なさそう。ただ、このメンバーに入ると能力的に一枚落ちの感は否めないし、米国からの参戦馬で軽快な先行力を生かすタイプは、サンドピットにせよウィズアンティシペイションにせよ今一つラストの踏ん張りを欠いている点は気にかかる。必ずしもハナに拘るタイプではなく、前々で流れに乗り、前残りの形になれば粘りこみもといったところか。管理するロバート・フランケル調教師はジャパンカップ(国際GI)の常連で、ペイザバトラーで1988年のジャパンカップを制している名伯楽。(期待度:C)

バゴ(Bago) 牡4歳
[ティエリ・ジレ騎手、ジョナサン・ピース厩舎(仏国)]
父:ナシュワン
15戦8勝 主な勝ち鞍:凱旋門賞(仏GI)、ガネー賞(仏GI)、パリ大賞典(仏GI)、ジャン・プラ賞(仏GI)、クリテリウム・アンテルナシオナル(仏GI)

分析:御存知、昨年の凱旋門賞(仏GI)勝ち馬。今期は緒戦のガネー賞(仏GI)を勝って以降、どうにも勝ちきれていないが、GIばかりを渡り歩いて2着1回3着3回4着1回なら決して内容は悪くない。父ナシュワンは日本ではあまり馴染みがないが、Blushing Groom系で母の父がNureyevなら日本の馬場に合わないということはないだろう。とても速い時計が出た凱旋門賞で好走し、米国のBCターフ(米GI)でも好走、そしてジャパンカップ(国際GI)に出走しての種牡馬入りというのはピルサドスキーと同じパターンで、ここもキッチリ力を見せてくれそう。来日経験はそれほどでもないニアルコスファミリーの所有馬だが、これまでドルフィンストリートが安田記念(GI)で3着。エルナンドがジャパンカップで3着、4着と全く崩れていない点も強調できる。ここも上位争いは十分期待できる。(期待度:A)

ベタートークナウ(Better Talk Now) セ6歳
[ラモン・ドミンゲス騎手、グラハム・モーション厩舎(米国)]
父:トーキンマン
31戦11勝 主な勝ち鞍:BCターフ(米GI)、マンノウォーS(米GI)、ユナイテッドネイションズS(米GI)、スウォードダンサー招待H(米GI)

分析:昨年のBCターフ(米GI)勝ち馬。そのBCターフを勝った時はレース振りが乱暴だったこともあってフロック視する向きもあったが、今年になってユナイテッドネイションズS(米GI)、マンノウォーS(米GI)を勝ち、実力の裏付けもあるところを見せた。ただ、生来からのムラッ気は相変わらずで、一走毎に好走と凡走を繰り返している。追い込み一辺倒の脚質だけに、ここで展開が嵌まるかどうかは正直微妙なところだが、今回は順番的に勝つ番だということと、母系にジャパンカップに相性がいいCaroの血が入っていることに好感が持てる。スローペースになったとしてもゴールデンフェザントが勝ったときのような強引な捲りが打てれば、一発があってもおかしくはなさそう。(期待度:B)


ジャパンカップ(国際GI)日本調教馬

アドマイヤジャパン 牡3歳
[横山典弘騎手、松田博資厩舎(栗東)]
父:サンデーサイレンス
8戦2勝 主な勝ち鞍:京成杯(GIII)、菊花賞(GI)2着、弥生賞(GII)2着

分析:京成杯(GIII)を勝ってクラシック路線に乗り、弥生賞(GII)、皐月賞(GI)、そして前走の菊花賞(GI)でディープインパクトに食い下がるところを見せた3歳の強豪。とはいえ、この3レースはいずれも器用さを生かしてうまく立ち回ってのもの。これまでにもジャパンカップ(国際GI)での3歳馬の好走例はあるが、何れもGI勝ちかそれに相当する実績のある馬ばかりだけに、この馬の実績で足りるかは微妙なところ。器用さを生かしてどこまでか。(期待度:C)

コスモバルク 牡4歳
[ダヴィボニヤ騎手(ミルコ・デムーロ騎手落馬負傷により乗り替わり)、田部和則厩舎(北海道)]
父:ザグレブ
18戦7勝 主な勝ち鞍:弥生賞(GII)、セントライト記念(GII)、ラジオたんぱ杯2歳S(GIII)、皐月賞(GI)2着、ジャパンカップ(国際GI)2着

分析:昨年、クラシック路線を大いに沸かし、ジャパンカップ(国際GI)でも2着と大健闘したコスモバルクだが、今年は4戦して掲示板なしの3戦2桁着順と全くの不振。ただ、その4戦は何れも気性面の問題から力を出したとはいえない面があるのも確か。スムーズに力を発揮すれば、昨年2着の実績が示すようにここで通用してもおかしくはない。今回は陣営からの「指示」という名の圧力もそれほど内容で、スムーズな競馬ができれば巻き返しも。(期待度:C)

サンライズペガサス 牡7歳
[蛯名正義騎手(後藤浩輝騎手落馬負傷のため乗り替わり)、石坂正厩舎(栗東)]
父:サンデーサイレンス
22戦6勝 主な勝ち鞍:毎日王冠(GII)、大阪杯(GII)2回、天皇賞・秋(GI)3着

分析:度重なる脚部不安に泣かされながらもGIIを3勝してきた古豪。7歳となった今期も充実しており、宝塚記念(GI)では不利がありながらの5着で、秋緒戦の毎日王冠(GII)では早目先頭の積極策で快勝した。ただ、その毎日王冠はいかにも展開が嵌まった感。ベストは2000mで2400mは必ずしもプラスとは言えないし、この相手で勝ち負けはやはり難しそう。(期待度:D)

スズカマンボ 牡4歳
[安藤勝己騎手、橋田満厩舎(栗東)]
父:サンデーサイレンス
16戦4勝 主な勝ち鞍:天皇賞・春(GI)、朝日チャレンジカップ(GIII)、京都新聞杯(GII)2着

分析:3歳時からクラシック路線に乗りながら、今一つ詰めを欠いたレースが続いていたが、今年の天皇賞・春(GI)で待望のGI制覇。それ以来の休み明けとなった前走は、スローペースで折り合いを欠いての惨敗だけに度外視することができそう。とはいえ、天皇賞・春はいかにも展開が嵌まった感があっただけに、ここでもう一丁となるとどうか?昨年の日本ダービー(GI)で5着と府中の2400mは決して悪い条件ではないが、展開が向いてどこまでだろう。(期待度:C)

ストーミーカフェ 牡3歳
[四位洋文騎手、小島太厩舎(美浦)]
父:アドマイヤベガ
7戦3勝 主な勝ち鞍:共同通信杯3歳S(GIII)、札幌2歳S(GIII)、朝日杯フューチュリティS(GI)2着

分析:2歳時に札幌2歳Sを逃げ切り、朝日杯フューチュリティS(GI)でもハイペースを逃げ粘ったが、今季初戦の共同通信杯3歳S(GIII)はスローに落としての逃げ切り勝ち。骨折明けのこの秋2戦もいずれもスローペースで折り合っての失速(というか切れ負け?)。どうもひところのスピードに欠いている印象で、陣営は「大逃げ宣言」果たしてそういくかどうか?仮に逃げを打ったとしても、ジャパンカップ(国際GI)を逃げ切るのは至難の業。逃げ馬有利の馬場状態を利し、展開が向いたとしてもどこまでか?(期待度:D)

ゼンノロブロイ 牡5歳
[ケント・デザーモ騎手、藤沢和雄厩舎(美浦)]
父:サンデーサイレンス
18戦7勝 主な勝ち鞍:有馬記念(GI)、ジャパンカップ(国際GI)、天皇賞・秋(GI)、インターナショナルS(英GI)2着

分析:3歳時から4歳春まではどうにも詰めの甘さに泣いていたが、昨秋に大変身し秋のGIを3連勝。しかし今期は宝塚記念(GI)3着、インターナショナルS(英GI)2着、天皇賞・秋(GI)2着とどうも詰めの甘さが戻ってきてしまった印象。急仕上げといわれた前走と比べても中間の稽古が軽く、あくまで目標はディープインパクトとの対戦を控える有馬記念(GI)か?と思わせる調整過程。もちろん、これまでの実績から九分のデキでも大崩れはないだろうが、ここ3戦同様詰めを欠いてしまう可能性もありそうだ。(期待度:B)

タップダンスシチー 牡8歳
[佐藤哲三騎手、佐々木晶三厩舎(栗東)]
父:プレザントタップ
40戦12勝 主な勝ち鞍:ジャパンカップ(国際GI)、宝塚記念(GI)、金鯱賞(GII)3回、有馬記念(GI)2着2回

分析:一昨年のジャパンカップ(国際GI)を9馬身差で圧勝した古豪。8歳となった今期は緒戦の金鯱賞こそ快勝したものの、続く宝塚記念(GI)ではハイペースに巻き込まれ思わぬ大敗。前走の天皇賞・秋(GI)では本来の行きっぷりなく9着に終わった。さすがに年齢的な衰えがあるとの向きもあるが、前走はあくまで叩き台と割り切れば、ここで変わってくる可能性も考えられる。絶好の内枠を引いてラチ沿いを行けそうなのも幸運といえ、内の先行馬が有利な今の東京の芝Cコースという条件が生きれば一発大駆けもありうるか。(期待度:B)

ハーツクライ 牡4歳
[クリストフ・ルメール騎手、橋口弘次郎厩舎(栗東)]
父:サンデーサイレンス
14戦3勝 主な勝ち鞍:京都新聞杯(GII)、若葉S日本ダービー(GI)2着、宝塚記念(GI)2着

分析:昨年は京都新聞杯(GII)を制して臨んだ日本ダービー(GI)が2着。その後しばらく調子を落としていたが、今年の宝塚記念(GI)でゼンノロブロイに先着する2着と健闘して復調を示した。とはいえ、相変わらず直線までは動けない「直線レーサー」ぶりは変わらない。その点で直線の長い府中コースは向いているとは思われるが、それでも前走不発に終わったように、展開に左右されるのは確かで、勝ちきるまではどうかという気もする。(期待度:C)

ビッグゴールド 牡7歳
[和田竜二騎手、中尾正厩舎(栗東)]
父:ブライアンズタイム
50戦6勝 主な勝ち鞍:中山金杯(GIII)、大阪ハンブルグカップ天皇賞・春(GI)2着

分析:早くから活躍し、4歳時に中山金杯(GIII)を制したときは将来を嘱望されたが、その後勝ちきれないでいるうちに極度の不振に。しかし、7歳となった今期は思い切った逃げ戦法も功を奏したのか大変身し、OP特別を連勝して臨んだ天皇賞・春(GI)で見せ場たっぷりの2着と好走。ただ、その後は再び一息の競馬が続いており、現状では展開に左右される面もある。すんなり先行から早め先頭で前残りとなればあるいは…といったところか。(期待度:D)

ヘヴンリーロマンス 牝5歳
[松永幹夫騎手、山本正司厩舎(栗東)]
父:サンデーサイレンス
31戦8勝 主な勝ち鞍:天皇賞・秋(GI)、札幌記念(GII)、阪神牝馬S(GII)

昨年暮れまでは気性の難しさも災いして条件クラスに甘んじていたが、この夏にクイーンS(GIII)で2着と好走すると、連闘で臨んだ札幌記念(GII)も制覇。さらに前走は天皇賞・秋(GI)まで制してしまった。とはいえ、札幌記念はいかにも相手が軽かったし、天皇賞・秋は勝ち時計が2:00:1という低調な時計に加えて、展開が全てこの馬に向いた。さすがにあれだけ恵まれるのが2度も続くとは思えず、冷静に考えればこの相手では苦しいだろう。血統的に距離は問題ないと思われるとはいえ、現に長距離での実績がまったく無いというのもどうだろうか。(期待度:D)

マイソールサウンド 牡6歳
[本田優騎手、西浦勝一厩舎(栗東)]
父:タマモクロス
35戦8勝 主な勝ち鞍:阪神大賞典(GII)、マイラーズカップ(GII)、京都記念(GII)

分析:ここまでGII3勝、GIII1勝の古豪。6歳となった今年も阪神大賞典(GII)を制したように、年齢的な衰えはそうも感じられない。とはいえ、これまでGIIが天井でGIでの好走は全く無い馬。東京コースも2400mも実績がなく、さすがにここでは走る要素が見当たらない。(期待度:E)

リンカーン 牡5歳
[武豊騎手、音無秀孝厩舎(栗東)]
父:サンデーサイレンス
18戦5勝 主な勝ち鞍:京都大賞典(GII)、阪神大賞典(GII)、菊花賞(GI)2着、有馬記念(GI)2着

分析:3歳時から活躍してきたこの馬も、古馬になってからはどうにも詰めを欠いて大舞台での実績は一息。ただ、今秋は京都大賞典(GII)を制して一頃の不振は脱した感も。前走は出遅れた上にあのスローではどうしようもなかったが、逆にその前走こそこの馬の器用さを生かす絶好のチャンスだったとも。府中の2400mの地力勝負で一線級と渡り合えるレベルに復調したかは何とも言えず、武豊騎手の腕は不気味も、あくまで伏兵候補の1頭だろう。(期待度:C)

ジャパンカップウイークスペシャル 第6回ジャパンカップダート(GI)、第25回ジャパンカップ(国際GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開 その5〜第25回ジャパンカップ(国際GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開


 今年で25回目を迎えるジャパンカップ(国際GI)。迎え撃つ日本勢はディープインパクトを欠き、昨年同様ゼンノロブロイを中心とした古馬勢がラインナップ。一方の外国勢は久々に強力メンバーが揃い、実に興味深い一戦となった。

 関連:ジャパンカップ(国際GI)の枠順(JRA日本中央競馬会)
 関連:blog対抗予想大会「とらっくばっく競馬:ジャパンカップ」(主宰=負け馬@馬耳東風)


 まずは外国勢と日本勢の比較だが、日本勢は昨年のこのレースを勝ったゼンノロブロイを頂点とする布陣。しかし、そのゼンノロブロイも今期はなんだかんだで未勝利。しかも宝塚記念(GI)と天皇賞・秋(GI)ではいろいろ理由はあるにしても牝馬の後塵を拝する始末。となれば昨年に比べればさすがにピークは過ぎている間は否めない。それでいてゼンノロブロイを完全に逆転するにいたる馬も出現しておらず、今年の日本の古馬中・長距離路線は低調と見ていいだろう。となれば、昨年のこのレースで4着したポリシーメーカーとの比較から、適性や状態面に問題がなければ今年の強力な外国勢で、十分逆転可能と見る。


 中でも中心に期待したいのは欧州の名牝◎ウィジャボードだ。昨年は英、愛・オークスを制し、秋は凱旋門賞(仏GI)3着、BCフィリー&メアターフ(米GI)優勝で欧州の年度代表馬に輝いた。その凱旋門賞の好時計ぶりや米国の芝での実績から、日本の速い馬場にも対応できる可能性は高いはず。上半期を棒に振った分、今期まだ3戦とフレッシュな状態を保っているのも好感。枠順もいいところを引いたし、好位のインで流れに乗り、直線一気に抜け出す形ならそのまま突き抜けてもおかしくはない。鞍上のキアラン・ファロン騎手は、昨年年度代表馬に輝いたときにコンビを組んでおり、相性も抜群。ここもやってくれるはずだ。


 相手には少し捻って○アルカセットを推す。実績面ではサンクルー大賞(仏GI)を勝った程度と若干見劣りはする馬だが、早くから固い馬場への適性を見抜き、ここへの出走を目標にしていいた馬。父Kingmanboに母父がNijinsky系のNiniskiなら素直に考えて日本の馬場への適性はあるだろう。ついでに言えばNiniskiからはジャパンカップ(国際GI)に2年連続参戦し、3着、4着のエルナンドも出ている。外枠を引いてしまったのが今の内断然有利の府中のCコースでどうかという気はするが、鞍上のランフランコ・デットーリ騎手は土曜最終の12Rで直線一気に内に切れ込んで伸びてきたように、内が伸びる馬場だということは理解している模様。ならば名手の腕に期待したくもなるというものだ。


 もちろん、▲昨年の凱旋門賞馬バゴも侮れない。確かに今期は勝ちきれていないが、相手関係やレース内容を見れば、まったく衰えはなく、昨年の能力は維持しているといっていい。凱旋門賞馬はジャパンカップでまったくの不振だが、一方で早い時計で凱旋門賞を走った馬といえば、ピルサドスキーがここで結果を出している。もともとBlushing Groom系は日本に相性がいいし、母系にMr. Prospectorの血が入っていることからやはり速い馬場への適性があることは裏付けられる。脚質も自在だしとにかく安定性はピカ一で、いい位置で流れに乗れれば大崩れは考えられない。


 迎え撃つ日本勢は、ゼンノロブロイを中心とする布陣。ただ、そのゼンノロブロイも今期未勝利で終わっているように、やはり昨年の勢いにないことは否めない。今回は天皇賞・秋のようなスローペースは考えにくいが、逆にタップダンスシチーストーミーカフェコスモバルクの出方次第では、宝塚記念のような流れになり、なし崩しで脚を使わされて伸び切れないという可能性も。調整過程を見ても有馬記念(GI)を見越した仕上げというムードが感じられ、昨年の出来と相手ならそれで何とかなったかもしれないが、今季のパフォーマンスと相手関係では、それでは詰めを欠くと見て思い切って軽視したい。


 逆にここが目イチの仕上げと思われるのが△タップダンスシチー。もともと一昨年のこのレースを勝っているように、府中の2400mはベストの条件。確かに前走のレース振りは情けないことこの上なかったが、あれが調教替わりだと割り切れば、ここで変わってくる可能性はあるはず。ベストの条件に加えて埒沿いを走れそうな内枠を引き、しかも内の先行馬が有利な府中のCコース。もちろん年齢的な衰えで、もはやまともに能力を発揮できる状態にない可能性もあるかもしれないが、ここまで条件が揃って、しかも人気が落ちているのなら狙ってみる価値はあるはずだ。


 他で人気を集めそうな日本馬といえばハーツクライアドマイヤジャパンあたりか。しかし、ハーツクライは知られているように直線だけしか走れない「直線レーサー」。せめて内枠ならそれで届いたかもしれないが、この外枠では終始外を回っての直線大外追い込みしかないだろう。しかし、内の方が伸びる今の府中で、それで差し切ろうというのはいくらなんでも無理な話。追い込んで届かずが関の山ではないか。一方、アドマイヤジャパン古馬との力関係が微妙。ディープインパクトにたびたび食い下がった実績は認めても、根が詰めの甘い馬でもあり、古馬のこの強力メンバー相手でいきなり勝ち負けというのも考えがたいように思う。

 ならば全くの人気薄だがムラっ気があっても嵌まれば大駆けがありそうな△ベタートークナウ、前に行ける分粘りこみの可能性も否定できない△キングスドラマ、昨年大敗も今年は臨戦過程を変え、しかも絶好の内枠を引いた△ウォーサンといった外国馬の伏兵の方が、配当的な妙味が期待できるというものだろう。