ジャパンカップウイークスペシャル 第6回ジャパンカップダート(GI)、第25回ジャパンカップ(国際GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開 その5〜第25回ジャパンカップ(国際GI)直前展望―MilkyHorse.com本紙による分析と展開


 今年で25回目を迎えるジャパンカップ(国際GI)。迎え撃つ日本勢はディープインパクトを欠き、昨年同様ゼンノロブロイを中心とした古馬勢がラインナップ。一方の外国勢は久々に強力メンバーが揃い、実に興味深い一戦となった。

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 まずは外国勢と日本勢の比較だが、日本勢は昨年のこのレースを勝ったゼンノロブロイを頂点とする布陣。しかし、そのゼンノロブロイも今期はなんだかんだで未勝利。しかも宝塚記念(GI)と天皇賞・秋(GI)ではいろいろ理由はあるにしても牝馬の後塵を拝する始末。となれば昨年に比べればさすがにピークは過ぎている間は否めない。それでいてゼンノロブロイを完全に逆転するにいたる馬も出現しておらず、今年の日本の古馬中・長距離路線は低調と見ていいだろう。となれば、昨年のこのレースで4着したポリシーメーカーとの比較から、適性や状態面に問題がなければ今年の強力な外国勢で、十分逆転可能と見る。


 中でも中心に期待したいのは欧州の名牝◎ウィジャボードだ。昨年は英、愛・オークスを制し、秋は凱旋門賞(仏GI)3着、BCフィリー&メアターフ(米GI)優勝で欧州の年度代表馬に輝いた。その凱旋門賞の好時計ぶりや米国の芝での実績から、日本の速い馬場にも対応できる可能性は高いはず。上半期を棒に振った分、今期まだ3戦とフレッシュな状態を保っているのも好感。枠順もいいところを引いたし、好位のインで流れに乗り、直線一気に抜け出す形ならそのまま突き抜けてもおかしくはない。鞍上のキアラン・ファロン騎手は、昨年年度代表馬に輝いたときにコンビを組んでおり、相性も抜群。ここもやってくれるはずだ。


 相手には少し捻って○アルカセットを推す。実績面ではサンクルー大賞(仏GI)を勝った程度と若干見劣りはする馬だが、早くから固い馬場への適性を見抜き、ここへの出走を目標にしていいた馬。父Kingmanboに母父がNijinsky系のNiniskiなら素直に考えて日本の馬場への適性はあるだろう。ついでに言えばNiniskiからはジャパンカップ(国際GI)に2年連続参戦し、3着、4着のエルナンドも出ている。外枠を引いてしまったのが今の内断然有利の府中のCコースでどうかという気はするが、鞍上のランフランコ・デットーリ騎手は土曜最終の12Rで直線一気に内に切れ込んで伸びてきたように、内が伸びる馬場だということは理解している模様。ならば名手の腕に期待したくもなるというものだ。


 もちろん、▲昨年の凱旋門賞馬バゴも侮れない。確かに今期は勝ちきれていないが、相手関係やレース内容を見れば、まったく衰えはなく、昨年の能力は維持しているといっていい。凱旋門賞馬はジャパンカップでまったくの不振だが、一方で早い時計で凱旋門賞を走った馬といえば、ピルサドスキーがここで結果を出している。もともとBlushing Groom系は日本に相性がいいし、母系にMr. Prospectorの血が入っていることからやはり速い馬場への適性があることは裏付けられる。脚質も自在だしとにかく安定性はピカ一で、いい位置で流れに乗れれば大崩れは考えられない。


 迎え撃つ日本勢は、ゼンノロブロイを中心とする布陣。ただ、そのゼンノロブロイも今期未勝利で終わっているように、やはり昨年の勢いにないことは否めない。今回は天皇賞・秋のようなスローペースは考えにくいが、逆にタップダンスシチーストーミーカフェコスモバルクの出方次第では、宝塚記念のような流れになり、なし崩しで脚を使わされて伸び切れないという可能性も。調整過程を見ても有馬記念(GI)を見越した仕上げというムードが感じられ、昨年の出来と相手ならそれで何とかなったかもしれないが、今季のパフォーマンスと相手関係では、それでは詰めを欠くと見て思い切って軽視したい。


 逆にここが目イチの仕上げと思われるのが△タップダンスシチー。もともと一昨年のこのレースを勝っているように、府中の2400mはベストの条件。確かに前走のレース振りは情けないことこの上なかったが、あれが調教替わりだと割り切れば、ここで変わってくる可能性はあるはず。ベストの条件に加えて埒沿いを走れそうな内枠を引き、しかも内の先行馬が有利な府中のCコース。もちろん年齢的な衰えで、もはやまともに能力を発揮できる状態にない可能性もあるかもしれないが、ここまで条件が揃って、しかも人気が落ちているのなら狙ってみる価値はあるはずだ。


 他で人気を集めそうな日本馬といえばハーツクライアドマイヤジャパンあたりか。しかし、ハーツクライは知られているように直線だけしか走れない「直線レーサー」。せめて内枠ならそれで届いたかもしれないが、この外枠では終始外を回っての直線大外追い込みしかないだろう。しかし、内の方が伸びる今の府中で、それで差し切ろうというのはいくらなんでも無理な話。追い込んで届かずが関の山ではないか。一方、アドマイヤジャパン古馬との力関係が微妙。ディープインパクトにたびたび食い下がった実績は認めても、根が詰めの甘い馬でもあり、古馬のこの強力メンバー相手でいきなり勝ち負けというのも考えがたいように思う。

 ならば全くの人気薄だがムラっ気があっても嵌まれば大駆けがありそうな△ベタートークナウ、前に行ける分粘りこみの可能性も否定できない△キングスドラマ、昨年大敗も今年は臨戦過程を変え、しかも絶好の内枠を引いた△ウォーサンといった外国馬の伏兵の方が、配当的な妙味が期待できるというものだろう。