ばんえい競馬、新馬登録が初の500頭割れ 出走手当減額が影響か

 北海道市営競馬組合(管理者=菅原功一旭川市長)が運営するばんえい競馬で、出走資格を得るためNAR地方競馬全国協会に登録する新馬の数が急減している。2005年度の登録を申請した新馬は、10月21日現在、478頭で、ピーク時の4割に落ち込んでおり、初の500頭割れが確実視されている。

 ばんえい競馬の新馬登録は、1997年度の1212頭がピークで、その後は2001年度を除いて減り続けている。2005年度の新馬登録申請数は11月下旬に確定することになるが、既に2歳馬の大半が申請を終えているとされ、今後登録頭数が増えても、合計が500頭を切ることは確実と見られている。

 2歳馬の登録数が減少している背景としては、18億円以上の累積赤字を抱える北海道市営競馬組合が、馬主に支払う出走手当や賞金をここ数年、減らしてきたことがあると見られている。特に1Rあたりの出走手当は、3万7000円まで減額されており、これは一時期の半額近いという。ばんえい競馬の1頭当たりの年間出走回数は平均30回強とされており、出走手当の減額分だけで、馬主側は年間100万円前後の減収になる計算となる。

 2歳馬の登録数の減少に伴い、今後ばんえい競馬の出走馬の能力水準が低下することが懸念されている。登録後、出走資格を得るために同組合の能力検定を受ける馬は7〜8割で、能検に合格するのは毎年220〜230頭。20%~30%で推移していた能検の合格率は、2003年度には41%に上昇。2004年度は51%と、初めて合格率が過半数を超えた。2005年度は、このままで行くと60%以上に跳ね上がる見通しとなる。

 北海道市営競馬組合は、レースへの出走頭数確保のため、11月中にも策定する組合の再生計画に、能検の合格基準の緩和を盛り込む方針だ。しかし、能検の合格基準が緩和されれば、必然的に出走馬の能力差が広がることにつながり、レースの面白みが薄れてファン離れにつながるのではないかとの懸念もあるようだ。

 ばんえい競馬は、旭川、北見、帯広、岩見沢の4市で開催しており、2003年度は計528回のレースを行っている。 【北海道新聞】

 経費削減のための賞金・手当の削減→登録頭数の減少→レースレベルの低下→ファン離れによる売上の更なる低下、という地方競馬を襲う「負のスパイラル」は、ばんえい競馬でも例外ではないようです。この流れを食い止めるためにも、ファンをひきつけるための一刻も早い経営努力が望まれますね。